いたのクリニック

 肝臓がん Liver cancer

疫学
①死亡者数(2006年)33,662人/罹患数(2002年)40.604人
②発症の危険因子(リスクファクター)
国内の「肝臓病」の多くを占めるのはウイルス性肝炎(B型またはC型)であり、その中でもC型肝硬変合併肝細胞がんが最も代表的です。
③肝細胞がん症例におけるHBs抗原・HCV抗体陽性率
HBs抗原15.5%、HCV抗体69.6%、両者ともに陽性4.0%

診断
①検診(スクリーニング)方法と意義
 肝硬変、ウイルス性慢性肝炎などの危険因子を有する症例に対し、超音波および腫瘍マーカーで定期的に経過観察することが推奨されている。
 しかし、健診の至適間隔(3,6,12ヵ月など)に明確なエビデンスはない。

②臨床症状
 無症状のことが多い。増大すれば右季肋部痛、心窩部痛、食欲不振、全身倦怠感、黄疸などを認めることもある。
 肝細胞がん(Hepatocellular carcinoma:HCC)
HCCでは、90%の症例が肝硬変を合併するため、初期は、肝硬変の症状(黄疸、腹水、肝性脳症)、末期では、肝不全の症状に加えて、癌に由来する症状が現れる。HCCに由来する症状としては、腫瘤触知、腹痛および体重減少が比較的特異的です。腹痛の原因として、HCCの腹腔内破裂の可能性があり、血性腹水を認める事があります。

③画像診断
肝細胞がんのスクリーニング、確定診断、治療方針の選択において画像診断が非常に重要である。
1)超音波
簡便で非侵襲的、スクリーニング検査として有用。造影剤の登場で、肝腫瘍の質的診断や肝細胞がん治療後の遺残・再発に対する有用性が向上した。
2)CT
dynamic study が必須。典型的な肝細胞がんは、造影早期相で濃染し、後記相で周囲の肝実質と比べ低吸収となる。
3)血管造影・アンギオCT
ヘリカルCTの登場によりDSA(digital subtraction angiography)を含めた血管造影の意義は低下しており、診断としての血管造影は推奨されない。また、血管造影をしながらCT撮影するアンギオCTは小病変の検出に有用であるが、常に行う検査ではない。
4)MRI
CT造影剤に対するアレルギーを有する症例などでガドリニウム造影剤を使用したdynamic MRI が施行される。また、新規のMRI用造影剤であるガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA)は、ガドリニウムイオンと脂溶性側鎖を持つEOB-DPTA のキレート化合物で、投与後早期には従来の正常肝細胞に取り込まれ肝特異性造影剤として作用する。そのため、1回の投与で肝腫瘍の血流評価と肝細胞機能の評価が可能である。

④検体検査
・肝細胞がんに対するAFPの感度・特異度は、カットオフ値により大きく異なる。AFP-L3分画はカットオフ値10ng/mlで感度22~33%、特異度93~94%、PIVKA-Ⅱカットオフ値40mAU/ml で感度28%、特異度95~96%と、AFPに比し特異度が高い。これらを組み合わせることで、感度が向上する。
・肝内胆管がんでは、早期発見に有用とされるマーカーはないが、CA19-9,CEAなどが経過観察や治療効果判定などに補助的に使用される。

⑤腫瘍生検
 動脈相での腫瘍濃染を示す典型的な肝細胞がんについては、病歴、画像所見および腫瘍マーカーを組み合わせることで確定診断が可能であること、また生検は播種や出血のリスクを伴うことより、組織診断は必須ではない。乏血性の腫瘍など非典型的な場合には、経皮的肝生検による組織診を考慮する。

病理分類
わが国においては、肝原発悪性腫瘍のほとんどが肝細胞がんおよび肝内胆管がん(胆管細胞がん)である。
①肝細胞がん(hepatocellular carcinoma(HCC):92.4%
②肝内胆管がん(胆管細胞がん)(intrahepatic cholangiocarcinoma):4.1%
③その他(胆管嚢胞腺がん、混合型肝がん、胚芽腫、未分化型がんなど)

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